令和4年度全国学校保健・安全研究大会 / 第72回全国学校歯科医協議会(岩手)

 11月10日(木)、11日(金)の両日「令和4年度全国学校保健・安全研究大会」が盛岡市にて開催されました。またこの開催に伴い、10日には「第72回全国学校歯科医協議会」が主催:岩手県歯科医師会、共催:日本学校歯科医会にて開催されました。「全国学校保健・安全研究大会」はハイブリッド開催、「全国学校歯科医協議会」はホテルメトロポリタン盛岡本館での会場参集のみで行われました。

 

○令和4年度全国学校保健・安全研究大会(1日目)

 開会式、文部科学大臣表彰式(札幌歯科医師会から江別市立中央中学校学校歯科医 伊藤雅博先生、札幌市立厚別南中学校学校歯科医 田中裕明先生 受賞)、記念講演 演題:「災害などで傷ついた子供の回復支援と心の健康教育」 講師:兵庫県立大学大学院 減災復興政策研究科 冨永良喜 特任教授 が行われました。講演では、子供が心の健康・ストレスを学ぶ時間を確保して、トラウマ反応の適切な対処の必要性を認識しました。

(辻村 祐一 記)

○令和4年度全国学校保健・安全研究大会(2日目)

〔第5課題「歯と口の健康づくり」〕

 2日目、第5課題である「歯と口の健康づくり」を視聴したので報告します。講師は公益社団法人日本学校歯科医会副会長の柘植紳平先生、指導助言者は鹿児島県教育庁保健体育課 主任指導主事兼係長 楠生勝宏氏そして研究発表者と続きます。

 まず第一発表者は岩手県立大東高等学校の学校歯科医の熊谷博伸先生と養護教論の内舘優香氏で、生徒自身が自分で考え判断できるように地域の方々と協力していきたいとのことでした。

 次に鹿児島県鹿児島市立山下小学校養護教論の谷口由美氏による発表で、児童が健康的な生活習慣を身につけることができるよう、学校保健の充実をはかり、児童の自己管理能力の育成に努めていきたいとのことでした。

 続いては秋田県鹿角市立八幡平小学校養護教論の井上希代子氏による発表で、歯と口の健康は生活習慣と深く結びついていることや、全身の健康づくりにもつながることに気付かせることが大切で、子供たちが生涯を通じて歯と口の健康を維持できるよう継続した取り組みを行っていきたいとのことでした。

 この後に活発な質疑応答があり、楠生勝宏氏の指導助言では、生涯にわたる健康管理の基礎となる歯・口の健康づくりの進め方について、研究協議を深めていきたいとのことでした。

 

 最後に講師の柘植紳平先生から講演があり、学校での歯・口の健康づくりを通じて、「生きる力」を育むほかに生涯にわたる健康づくりに関する資質・能力を「知識・技術」、「思考力・判断力・表現力」「学びに向かう力・人間性」の三つの柱に沿って整理していくことが大事であり、健康は大切だと自ら考え、自己管理(セルフケア)と定期的専門管理(プロフェッショナルケア)を行うことで、生涯にわたって健康を保持増進できることが大事であるとの内容でした。

(伊藤 大亮 記)

 

○第72回全国学校歯科医協議会

 この大会は全国から学校歯科医が相集い、学校歯科保健の活動内容を理解し、最新の知見及び、その実践の普及に寄与する資質・能力の向上を図るために開催されています。3年ぶりの開催となりまして、開会式、文部科学大臣表彰者紹介、協議会後に、講演会が行われました。

演題:【体育・スポーツと歯及び口腔の健康】

講師:盛岡大学文学部児童教育学科 盛島 寛 教授

 岩手県からはプロ野球の菊池雄星選手、大谷翔平選手、佐々木朗希選手、スキージャンプの小林陵侑選手など数多くのアスリートが輩出されています。盛島先生は当県で体育科教諭や教育委員会主事、校長などを歴任され、現在岩手県のみならず体育・スポーツ教育界の第一人者として活躍されております。

 講演では体育・スポーツで主となる運動(パフォーマンス)にとって、歯及び口腔の健康は大きな影響があることや、マウスガードによる安全教育や効果、有効性についてお話いただきました。不必要な強い噛みしめは身体を緊張硬直させ、血圧を上昇させ、呼吸リズムを乱してしまい、柔軟性を減少させ、競技スピードを低下させ、過緊張を誘発させてしまいます。よってマウスガードを装着していたとしても、必要以上に噛みしめないことが大切とのご指摘がありました。学校保健体育では、むし歯予防の観点だけでなく、歯周病や歯列矯正を含めた口腔の健康や審美性など、現在及び今後起こりえる課題を見据えた指導が必要と語られました。

(辻村 祐一 記)