第72回北海道学校保健・安全研究大会釧路大会出向報告

第72回北海道学校保健・安全研究大会釧路大会出向報告

2025年10月26日(日)に釧路市生涯学習センターまなぼっと幣舞にて第72回北海道学校保健・安全研究大会釧路大会が開催されました。大会主題は「生涯を通じて、心豊かにたくましく北の大地を生きる子どもの育成を目指して」、副題は「二つの国立公園に抱かれた釧路から力強く生きる子どもの未来に向けて」です。

開会式では学校保健功労者表彰が行われました。学校歯科医は25名が受賞され、3名の先生が表彰式に出席されました。

続いて、基調講演が行われました。

【基調講演】

演題:子どもたちを守るために~地震災害と心のケア~

講師:震災・学校支援チーム(EARTH)員 三村 理加

 震災・学校支援チーム(EARTH)は1995年の阪神・淡路大震災時に受けた全国各地からの支援に報いるために結成された教職員の組織で、災害発生時に要請に基づき被災地の学校の教育復興を支援する活動を行っています。(EARTH:Emergency And Rescue Team by school staff in Hyogo)

 災害後の学校の役割には、

(1)災害時、命を守ることが最優先となる。

(2)災害時、学校は避難所となる。

(3)早期の学校再開をめざす。

(4)学校再開後は教育復興と心のケアの推進を行う。

以上4つが挙げられます。

 心のケアにおける教師の役割は、子どもの教育と子どものセルフケアの援助の二つです。教師は子どもたちがグリーンゾーンからイエローゾーンに移ることを予防できます。学校における心のケアのポイントは「安心」「つながり」「表現」「チャレンジ」です。心のケアと防災教育は両輪で取り組む必要があります。

 災害の教訓を活かすとは、災害と心のケアに向き合うとともに、私たち自身も備えることです。自分の命を守る「自助」とそばにいる人の命を守る「共助」の両方が求められます。

【部会別研究協議】

午後には部会別研究協議が行われました。

第3部会「現代的健康課題」では鶴居村立鶴居小学校の三輪 彩水養護教諭から「自分の歯や口の健康に関心をもち、主体的に実践できる子どもの育成を目指した保健教育」と題して、前任校である厚岸町立太田中学校での取り組みが提言として報告されました。

同校では8割以上の生徒にむし歯や歯垢・歯肉の状態に受診を勧める必要がある状況が見られていました。生徒にアンケートを行ったところほとんどの生徒むし歯や歯肉炎、正しい歯磨きについての知識はあるが予防行動にはつながっていないことが分かりました。

歯垢染色液を使ったブラッシング指導、小学生向けの歯と口に関するポスターの作成、動画を活用した給食後の歯磨き、保護者・教職員との連携を行った結果、2年後にはCO及び歯肉炎の減少が見られました。

提言後、参加者によるグループディスカッションの時間が設けられ、活発な意見交換が行われました。その後、釧路歯科医師会 大澤 正幸 理事と標茶町立標茶中学校 須藤 光秋 校長から助言があり、研究協議会の幕を閉じました。

 

(堀 稔 記)